明日の9月4日でちょうど1年になる。
動揺と不安と心配と過去の想い出や感謝や憎しみが一杯になって
書き上げることが出来なかった「親父の一番長い日」。
だけど1年前に書こうとしたことを改めて今記すつもりはない。
なぜならその時の感情はどこかに行ってしまったし、
今となってはある意味「親父の一番長い日」は彼の喉元を過ぎたし、
今は「家族が苦悩する長い日々」の最中だからだ。
親父が倒れたのは平たく言えば「大腸癌」で、何らかの衝撃(例えば咳とか)で腸壁が破れ、
体内に便となる筈の不廃物や雑菌が流出、腹膜炎を起こしていた。
「一刻を争う事態」だったし「万が一」が容易に想定できる状態でもあった。
翌日、麻酔から目覚めた時には親父の身体には人工肛門が装着されていて、
親父はその事にさえ気付いていなかった。
本来なら担当医師からそれまでの経緯や今後の治療方針などの説明を受けるのだが、
その前に俺からハッキリと親父にコトの全てを話した。
出来るだけショックを与えないように、というのが普通なんだろうと思う。
でも、相手は親父だ。
40年見てきた訳だから、他人の対応じゃ親父にとって為にならないと判断した。
親父はあまりにも脆かった。
口では強がりを言っても、不安で不安で押しつぶされるような日々を送っているのかも知れない。
現実逃避を繰り返すのはそのせいだろう。
けれど、そのおかげで家族や周りの人間をどれだけ苦しめているのかは我関せず。
なぁ親父。
幼い俺を引き取って不器用ながらも育ててくれたことは感謝している。
だからこそ、あんたがいなくなった時も、酔いつぶれた時も、馬鹿なことをやらかした時も
あんたを見捨てたりしなかった。
でも、もう次は無いからな。
俺は俺の人生を歩いていきたいんだ。
あんたに利用され続けるのはもう御免だ。