初めて作った、たった1冊だけの写真集。

「Meditation Work」と名付けられたそれは77葉の稚拙で無垢な写真で構成されている。
毎日のように一眼レフを持ち歩き、
まるで目に映る全てを切り取るようにシャッターを切った。
それまでの人生の中で、いや、
今までの人生の中で、
最も精力的に撮りまくっていた。

そうして撮ったモノクロームの断片を
強引にもケント紙にプリントして
ホッチキスとガムテで束ねた。

1985.9.10というクレジットは
22年前に作られた事を意味しているけれど、
ページをめくると
撮影した時の状況がほぼ正確に甦ってくる。

路上に積み上げられたドラム缶
終電が去った後のプラットホーム
真夜中のスクランブル交差点
閉鎖された工場の割れた窓ガラス
暗闇に浮かぶ公衆電話
廃線になった線路を歩く少女
居酒屋の提灯
行き場の無い階段
誰もいない真昼の公園

いつか時間が出来たらもう一度
ちゃんとした形で遺したい。

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