友人Yから電話がかかって来た。
泥酔しているようだった。

いろんな事を抱え過ぎて「疲れた」と言い
「もう頑張れない」とも言った。
励ましの言葉がうまく見つけられない。

カチャカチャと電話の向こうで音がした。

「あともう少ししたら喋れなくなるから…」
そう言ってYは無口になる。
携帯の充電が切れるのかと思ったが
どうやら違うようだ。

「薬を飲んだ…」の途切れ声。

「睡眠薬か?」
「適量なんだろうな?」
「馬鹿な事考えてねーだろうな?」
「おい、吐け!言う事訊け!」
俺が大声出しても返答が無くプツンと切れた。

すぐにかけ直してみたけど
留守電になっていた。

昼でもなく
夜でもない
夕焼けが残る時間帯が好きだ
赤い空を見ているとなんだかほっとする
ちょっと人恋しくなるけれど

神経すり減らして働く昼じゃなく
眠れない夜に気が遠くなる夜じゃない
こんな時間が何より愛おしい
ひょっとしたら君は空を見上げてなかったんだろうか
気がついた時にはとっくに日が暮れていたのか

なぁ、こっちもすっかり夜になってしまった
また長い夜がやってきたよ
誰かが君を見つけてくれるといいんだけれど…

名前とメアドと電話番号しか知らない俺に
なす術も無く
やるせない夜が始まったんだ。

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