T嬢は猫を飼っていて、モモ(♂)とニャアちゃん(♀)の2匹がいる。
モモは男の子だから本当はモモタロウというのだけれど
みんな彼をモモちゃんと呼ぶ。
モモは人懐っこくやんちゃな性格らしいのだが
ちょっと不細工というか目つきがよい方ではなく
器量良しのニャアちゃんといつも比べられて
端で聞いていると若干不憫な気がしないでもない。
その彼、モモは今病院にいる。
昨日…それまで元気すぎるぐらい元気だったモモが急におかしくなり、
急遽動物病院に連れて行った。
そこで診断されたのは…猫肥大型心筋症というものだった…
猫肥大型心筋症とは…
心臓の筋肉、心筋が厚くなり、心臓の収縮機能が低下する事により、
血液中の酸素や栄養が各器官に届かず、その障害は全身症状として現れる。
また心臓が循環不全を起こし血栓が作られ、それが動脈に詰まるとそれ以降の血液が流れなくなり激しい痛みが伴う…
病気が起こる原因はわかっておらず
薬で血栓を溶かすぐらいしか対処する術が無いそうだ。
早期発見なら外科手術も考えられるそうだけど
この病気、何の前触れも無く突然やってくるので、
気がついた時には既に…ということが多いらしい。
モモの場合もそれだったようだ。
医者曰く「あと1週間…」
実は最近、「そろそろ一緒に暮らそうか」みたいな話をT嬢としていて、
そうなると共働きになるから(しかもお互い長時間労働)「モモ達は連れて行けないね…」などと言っていたのだけれど。
猫は死期が近づくと飼い主に気づかれないように去って行く、じゃないけど
モモはそんな俺たちの会話を察したのだろうか…
それとも厄年のT嬢の厄の身代わりになってくれたのだろうか…
それにしても、
それにしても、だ。
そんなに苦しい事にならなくても…
そんなに辛い事にならなくても…
けれども自分にはなす術も無い。
ただただT嬢の話を聞いてあげるだけなのだ。
タイトルのバレンタイン・ハートとは
肥大型心筋症の猫の心臓が、その機能低下に依って変形し、
ハート型の心臓(バレンタイン・ハート)になることからそう呼ばれる。
何もこんな時期にそんなことになるなんて…
頑張れ、モモ!

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