奥さんの仕事が忙しく帰りが遅い。
締切が近づけば残業しようが徹夜になろうがきっちり仕上げる…
そんな業界にお互いいるのだから
帰り時間が不規則なのは了解済みなんだけれど
やはり体調が気になるところだ。
昨夜も遅くなるから食事は各自で済ませるという事になっていて
俺は冷蔵庫の残り物、彼女は外食かコンビニ弁当の予定だった。
俺は帰宅後、親子丼を作り、翌日の米を洗い…
ほどなくして彼女が帰ってきた。
午前0時をすっかり回っていたが、彼女はMacを起動させる。
「ごめーん、仕事持ち帰ってきちゃった」
家に持ち帰らないと仕上がらない仕事…
単に仕事の手が遅いのか、ボリュームが多すぎるのか、
いずれにしてもオーバーワークには違いない。
俺は仕事の邪魔にならないよう隣の部屋で横になっていた。
暫くすると、彼女のすすり泣く声が聞こえてきた。
話を聞くと上司のディレクターから理不尽なことを言われたそうで、
帰宅したら我慢していた感情を抑えきれなくなったらしい。
ひとしきり泣き、愚痴を言い切った後で「お腹空いた」と呟いた。
結局晩ご飯は食べる暇もなかったのだと。
「夜中だけど、ラーメン食べる?」
彼女が頷いたので、俺はキッチンに行きお湯を沸かし、
サッポロ一番みそラーメンを作る。
本当なら俺が作った親子丼も十分2人前の量はあったのだけど、
どうせ奥さんは済ませてくるし残すのも勿体ないから食べちゃったのだ。
そしてラーメンが出来上がり二人で分けて食べた。
食後、再びMacに向かう奥さんに
「ちょっと遅くなったけど誕生日やな。プレゼント何も無いけどおめでとう」と言った。
「さっきラーメン作ってくれたからそれでいい」と彼女。
今日はケーキを買って帰ろう。