clips
2006-07-25日曜日の朝僕は大抵10時頃に目が覚める
だけどすぐには起きず昼前ぐらいまでは
シーツにくるまったままボーッとしている
予定のない時はいつもそんな感じだ
2階のキッチンでは親父が朝からビールを飲んでる
人付き合いが下手な彼は誰と接することもなく
アルコールを摂取することに一日を費やす
いつの頃からか親父は小言しか言わなくなった
彼の仕事が時代の流れから外れ
職人気質がいつまでも通用しなかったり
世間との折り合いがつかなかったりで
彼の背中は日を追うごとに年老いてゆく
仕方のないことなのかもしれないが
そんな彼を見ているのは僕には苦痛でしかない
彼となるだけ口を利かないようにしているのは
そういうことだ
TVだけが彼の前で饒舌だった
けれど僕にしたって日々何らかの
危機感を感じながら生きていても
その日その日の疲労を紛らわすことで精一杯
君のために何かしてあげようとする気持ちさえ
何処か遠のいてしまう
あの頃よりも笑わなくなった君もまた
疲れているのだろう
代わり映えのしないFMのカウントダウンが
神経を逆なでする
ダレカ コノオモタイセナカヲ ケズッテクレ
とりあえず携帯電話の電源を切ったままにして
どこか出かけよう
このままじゃ潰れてしまう
僕は溜息を飲み込んで
車に乗り込んだ
石を蹴るようにアクセルを踏んだ
clips
2006-07-25車で真夜中の高速道路をどんなに飛ばしても
君の家から僕の部屋まで3時間はかかってしまう
でも君と会っているとそんなことは忘れていて
君を送り届けた途端に溜息と共に思い出してしまう
僕の車にはAMラジオしかついてなくて
君はそんな僕を察してか
別れ際にウオークマンを貸してくれた
「これで少しは退屈も紛れるだろうから安全運転して帰ってね」
それから6回目のオートリバースを繰り返した頃に
僕はやっと眠りにつくことができた
幸せを確認するのには
あまりにハードかもしれないけど
今の僕に必要なのは
やっぱり君と一緒に過ごすことなんだと思う
clips
2006-07-25夜中に目を覚ますとTVがつけっ放しになっていて
無機的な音声が部屋を支配していた
何の情報も持たない電波が踊るモニター
鈍い光が僕をモノクロームにしている
無秩序の中の規則性にぼんやりと目を奪われている
明日に裏切られた今日に
僕は舌打ちした
無題
2006-07-25君の流した涙の熱さを知らずに
遠くへ行ってしまった
君が叫んだ多くの言葉も聞かずに
遠くへ行ってしまった
君が声を詰まらせた数え切れない思いを受け止めずに
遠くへ行ってしまった
君が差し出した小さな手さえ振り払って
遠くへ行ってしまった
でもそれは君が無力だったからなんかじゃない
涙の熱さも
多くの言葉も
数え切れない思いも
温かな手も
みんなわかっていてもどうしようもなかったんだろう
黙って行ってしまったのは
自分で自分を止められなかったからなんだろう
ありがとうもごめんなさいも
言えないぐらい
君の流した涙の熱さを知らずに
遠くへ行ってしまった
君が叫んだ多くの言葉も聞かずに
遠くへ行ってしまった
君が声を詰まらせた数え切れない思いを受け止めずに
遠くへ行ってしまった
君が差し出した小さな手さえ振り払って
遠くへ行ってしまった
でもそれは君が無力だったからなんかじゃない
涙の熱さも
多くの言葉も
数え切れない思いも
温かな手も
みんなわかっていてもどうしようもなかったんだろう
無題
2006-07-19どんなにつらいことや
どんなにかなしいことがおこっても
じぶんをころすことだけはしないで
それがきみのさいごのけつだんではないはずだから
あしたになれば
またちがったこたえがみつかるんだよ
あさってになれば
またちがったおもいがうまれるんだよ
雨の日は…
2006-07-18昨夜は大雨がふって、その音でなかなか寝付けなかった。
クーラーをつけて眠ると翌日の体調がよくないので
普段なら窓を開けたまま扇風機を回すのだが、雨降りだと窓を開けるわけにも行かない。
蒸し暑い夜を抱いて眠るしかない。
子どもが犯罪の犠牲者になる事件が後を絶たない。
なにも殺すことは無いだろう、と思う。身勝手だなとも思う。
子どもが子どものまま大人になってしまったことの責任を
誰がとればいいのか。
親なのか世間なのか。
けれど、やっぱり自分のまいた種は自分で刈らなければならない。
少なくとも自分の子どもにはそう教えたいものだ。
ワインだってチーズだって寝かせていれば熟成していくのに
人間だけはいつまでたっても成長しないなぁ。
勿論自身も含めてだけど。
キンキキッズ
2006-07-13男性アイドルグループってなんだか好きになれない。
上手くは説明できないけど。
あの仲良し具合に胡散臭さを感じてしまうからだろうか。
今流行の子たち(名前すら出てこないw)だと尚更そう思ってしまう。
君たちは今までに仲良し子よしで来たわけでもないだろうし、これからもそのままで行けるとも思ってないだろうってね。
なのに彼らはヘラヘラ笑っているからいい気がしない。
同性の妬みかな?いや、違うな。でもわからない。
ま、どうでもいいけど。
安心して見てられるのはキンキキッズぐらいかな?…ということでキンキです。
だいぶ前に撮影した捨てカットを残しておいたものです。
かわいでしょ?
あとがき
2006-07-10幼児期、兄弟もおらず片親で育ったせいか、絵を描いたり、本を読んだりすることが遊びだった。
親父が看板描きだったこともあり、その手の材料はいくらでもあったから一日中好きなだけ描いていた。
壁や床を絵の具で汚しても怒る母親は存在しなかったし、子供を不憫に思う親父もまた怒らなかった。
今の仕事を選んだのもそんな過去のおかげかもしれない。
小学5年生のとき、クラスメートの女の子(直子ちゃんといって、大人になってから舞台女優になった)が書いた短編小説(内容は忘れてしまったが)が学芸会で劇化されることがあって、それに触発され俺も文章を書くようになった。
俺の尊敬するアートディレクターの田島さんは写真や絵だけでなく、文章もすごくいい。ホラー小説家としての側面もあるほどだ。
デザイナーやフォトグラファーとしてもすごくあこがれるのだが、小説家としての田島さんも凄くあこがれる。尾崎に関して言えば、須藤さんの文章より田島さんの文章の方が好きだったりする。
流石に十代のリリカルな部分を書くことはできないが、20代前半の、まだ大人になりきれない青年の話を書いてみたかった。
「彼と彼女」という話はフィクションではあるけれど、なんとなく自分の一部が出ているような気がする。
作家デビューといきたいところだが、世の中そんなに甘いモンじゃないので、ここで発表させてもらいます。
皆さんの感想を聞かせてください。clipsみたいにスルーは嫌よw
あー、ブログっていうのがあって良かったw
彼と彼女8
2006-07-10オッチャンが会社を辞めたこともあって、俊哉達は再び忙しくなった。
オッチャン達は何事もなかったかのようにその手を休めず、黙々と働いている。
俊哉もまた懸命に働いた。
それまでの仕事に加え、今までオッチャンがやっていた溶接を、合間を見つけては練習するようになった。何度も目を焼いて充血したり、あちこち火傷したりで大変なのだが、俊哉はそれを苦痛に感じなかった。
家に帰っても疲れ切って眠るだけの暮らしにあれほど嫌気がさしていたはずなのに、
今はそれが何故か妙に心地いい、と俊哉は感じていた。
<了>